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本音が言えない

他人には良く思われたい。羨ましがられたい。

本当の自分を出せず、つねに見栄を張った自分だけを見せてしまう。

43歳独身のK子さんは、いわゆるバリバリのキャリアウーマン。

お給料もこのご時世の中、一人では十分過ぎるほどの収入を得て、

悠々自適な生活をしているように思われるのを

かつては得意にしていたのだと言います。

ところが、年齢を重ねるごとに、「羨ましがられたい」という

思いがますます高まり、それと同時に心を許し本音を話せる友人が

一人二人と減っていってしまったのだそうです。


「本当は結婚したいけど、恋人に対しても

”私は仕事が大事だから、自由でいたいの!”

なんて粋がって、結局はふられてしまいました。

40過ぎてからは恋人さえもできないありさまなんですけど、

仕事場ではつい、”仕事に恋愛はジャマだから!”なんて

強がったことばかり言ってしまって……。

多分、私の言葉を皆本気にしているんだと思います。

いつから私はこんなふうになってしまったんでしょう。

今さら反省してももう遅いですよね。

ただ、子供が産めるのはもう限界だと思うと、

やっぱり素直な自分を取り戻したいとは思います。

だけど、本当の私を周囲に知られたくないのも事実なんですよね」


確かに年齢が高くなるにつれて、人は頑固になりやすく、

素直に自分を出せなくなる人は多いような気がします。

年齢とともにプライドも上がり、本音を出すのが

恥ずかしくなってしまうということもあるのでしょう。

でも、周囲に羨ましがられたり、良く思われたからといって、

彼らは何もしてはくれません。羨望の眼差しを一瞬向けるだけで

これから長く続く幸せをもたらしてはくれないのです。


どうして友達が離れていってしまったんだと思いますか?

私はK子さんに尋ねました。

「私が本音を言わなくなったからだと思います。見栄を張ったり

強がってることを見抜いていたんじゃないかしら。

実は一度はっきりと言われたことがあったんです。

”本当のあなたが見えない”って。

でも、そのときの私は友達に対して聞く耳を持っていなかったから、

なんて失礼な人なの!って言い返してしまって。

結局愛想を尽かされたんですね。

その後は付き合いもなくなってしまいました」

彼女はそう言うと、肩を落としうな垂れました。


そんなK子さんに私は、”気づき”に早いも遅いもなく、

すべてをあきらめる必要などないことを伝えました。

誰彼にまで自分をさらけ出す必要はないけれど、

自分にとって大事な友達に対しては、私に話してくれた態度そのままで、

これからは自分の素直な気持ちを伝えていけばいいだけです。

もちろん、最初の一言はとっても勇気がいることだと思います。

でも、その一言がいかに大事なものなのか気づけたわけだから、

プライドにはこだわらず、謙虚な気持ちで接することができるはずです。



つくづく年齢で人は計れない……ということを感じます。

つまり、人生で学ばなければならないことはたくさんあって、

それは年齢ではなく、心が感じ気づいて得ていくものだからです。

そう考えると、「私はこれで十分!」なんてことは誰にもないはずです。

何歳になっても、”学ぶ姿勢”を忘れずにいたいものですよね。

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